【2026年9月時点】令和9年度 障害福祉サービス等報酬改定はどこまで決まったか|障害児支援の論点とスケジュール
この記事は2026年9月21日時点で国が公表している資料をもとにまとめています。令和9年度報酬改定の内容は、まだ何も決まっていません。ここで紹介するのは「どの会議で、どんな論点が議論されているか」という事実です。
令和9年度改定は、どこで決まるのか
報酬改定の中身を詰めているのは、厚生労働省とこども家庭庁が合同で開く障害福祉報酬改定検討チームです。児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援の報酬も、このチームで一体的に議論されます。資料の作成者名義には、必ずこども家庭庁支援局障害児支援課が併記されています。
議論の流れはこうなっています。令和8年4月に検討が始まり、6月から8月にかけて53団体からの関係団体ヒアリングが6回にわたって行われました。そして2026年8月27日の第62回検討チームで「主な論点(案)」が公表され、9月24日の第63回から各サービスの個別検討に入ります。(出典:障害福祉報酬改定検討チーム 第62回 資料2、2026年8月27日)
2026年9月17日には社会保障審議会障害者部会(第159回)に議論の状況が報告されました。これが2026年9月21日時点でもっとも新しい公表資料です。スライドの表題から「(案)」が外れ、スケジュールの書き方も「進めてはどうか」から「進める」に変わりましたが、本文には「上記の論点は現時点のものであり、今後議論を進めていく中で変更することがあり得る」という注記がそのまま残っています。
これから年度末までの流れ
| 時期 | 予定されていること |
|---|---|
| 2026年9月24日〜 | 検討チームでサービスごとの個別検討が始まる(初回は訪問系サービス) |
| 2026年11月 | 経営実態調査(令和7年度決算)と処遇状況等調査の概況公表 |
| 2026年12月 | 政府予算編成、基本的な考え方の取りまとめ(改定率もこの時期に決まる) |
| 2027年2月 | 改定案のとりまとめ |
| 2027年2〜3月 | 告示改正・通知の発出 |
| 2027年4月 | 適用 |
障害児通所支援が検討チームの議題に載る回は、2026年9月21日時点では公表されていません。まずは11月の経営実態調査の公表が、次の大きな節目になります。
すでに決まっていること(令和8年度の臨時改定)
令和9年度改定とは別に、令和8年度の臨時応急的な見直しはすでに決定し、2026年6月から施行されています。ここは「決まったこと」なので、まだ対応していない場合は先に手を打つ必要があります。
- 処遇改善加算の対象が、福祉・介護職員から障害福祉従事者全体に広がり、加算率が引き上げられました。生産性向上・協働化に取り組む事業所向けの上乗せ区分(Ⅰロ・Ⅱロ)も新設されています。
- 計画相談支援・障害児相談支援にも処遇改善加算が新設されました(加算率5.1%)。
- 2026年6月1日以降に新規指定を受けた事業所は、基本報酬が児童発達支援で988/1000、放課後等デイサービスで982/1000に引き下げられています。この特例は令和9年度改定まで続きます(主として重症心身障害児の事業所や、告示で定める地域の事業所などは対象外)。
自分の事業所がどの加算を取れる状態にあるかは、加算ナビで数分で確認できます。
議論されている主な論点
第62回検討チームが示した論点は、大きく4つの柱に分かれています。そのうち2(3)「障害児支援の質の向上と更なるサービスの充実」が、障害児支援の本丸です。
| 柱 | 内容 |
|---|---|
| 1. 持続可能なサービス提供体制の確保 | 処遇改善、物価変動への対応、生産性向上 |
| 2. 希望する地域等での生活の支援や多様なニーズへの対応 | 地域生活の実現、多様なニーズ、障害児支援の質の向上 |
| 3. サービスの質の確保・向上と制度の持続可能性 | 事業者の質の確保、各サービスの適正な評価 |
| 4. 地域差や人口減少への対応等 | 中山間・人口減少地域、地域区分 |
障害児支援で示された7つの検討事項
柱2(3)には、次の7項目が「想定される検討事項」として挙げられています(出典:同 資料2 p.6)。
- 質の向上のための人材育成、チーム支援の推進、支援体制の評価の在り方
- 児童発達支援センターの中核機能の更なる強化
- インクルージョン及び地域支援・地域連携の推進
- 医療的ケア児・重症心身障害児など支援ニーズの高い児への支援の充実
- 家族支援の推進と、ライフステージを通じた切れ目のない支援
- 障害児入所施設における家庭的な養育環境の推進
- 障害児入所施設における機能強化
いずれも「検討事項」の段階で、具体的な単位数や要件の案はまだ示されていません。ここを先回りして断定する情報には注意してください。
「メリハリのある報酬体系」という言葉の背景
論点3(2)には「長期化した経過措置への対応の検討なども含め、メリハリのきいた報酬体系とする必要があるのではないか」と書かれています。その前提として示されているのが、次の数字です。
- 令和6年度改定(改定率+1.12%)の後、総費用額は+12.1%伸びた(利用者数+5.8%、一人あたり+6.0%)
- 事業所数は、児童発達支援が15,181か所、放課後等デイサービスが24,525か所、保育所等訪問支援が2,867か所(令和8年1〜3月平均)
また、資料には「特段の知識や経験は不要」「利益をあげることができる」として新規参入を働きかける例があることにも触れ、「必要な支援を行っていない事業者ではなく、質の高い支援の提供にしっかりと資源が用いられるようにする見直し」が必要だと明記されています。(出典:同 資料2 p.2)
指定を受けにくい地域が増えています
報酬とは別に、事業所の指定の運用も動いています。2026年6月に「障害福祉サービス事業者等の指定のガイドライン」が示され、いわゆる総量規制や意見申出制度の使い方が整理されました。児童発達支援・放課後等デイサービスは、もともと総量規制の対象です。
ガイドラインでは、総量規制を解除する場合は公募が望ましいとされ、評価の観点として人員配置(充実度、従業者の経験年数)、事業継続性(運営実績、収支見通しの根拠)、職員の質の向上(研修の取組状況)が例示されています。「開設したい」よりも「どんな支援体制を持っているか」が問われる形になってきました。
また、児童福祉法に基づく指定障害児通所支援事業者などへの指導監査についても、令和9年に集団指導・運営指導マニュアルが作成される予定です(出典:こども家庭審議会 障害児支援部会 第20回 資料4、2026年7月22日)。
今からできる備え
改定の中身が決まっていない段階で、先回りした対策はできません。ただし、ここで挙げることは、令和9年度改定がどうなっても無駄になりません。いずれも今の制度で求められていることだからです。
1. 支援プログラムの公表と自己評価を、形だけで終わらせない
支援プログラムを公表していないと、今も所定単位数の85%に減算されます。公表しているかだけでなく、5領域とのつながりが個別支援計画に落ちているかを見直してください。質の評価は令和9年度の論点にも入っています。
2. 加算の取りこぼしと、届出の期限を確認する
体制加算の多くは、算定を始める月の前月15日までに届出が必要です。要件は満たしているのに届出だけしていない、という取りこぼしは珍しくありません。加算ナビで、取れる加算と必要な届出を確認できます。
3. 必須対応(虐待防止・身体拘束・BCP・情報公表)を点検する
委員会・研修・訓練の未実施は、そのまま減算につながります。必須対応・減算ナビで、自分の事業所に足りないものを確認できます。事業者の質の確保は令和9年度改定の論点にも入っており、ここは今後さらに見られます。
4. 11月の経営実態調査の公表に備えて、自分の数字を把握する
改定率の議論は、経営実態調査の数字を土台に進みます。自分の事業所の収支と、国が示す平均とのズレを説明できる状態にしておくと、加算の取り方や定員の見直しの判断が早くなります。
5. 人材育成の体系が変わる動きを把握しておく
「障害児支援における人材育成に関する検討会」では、令和9年度以降の実施を見据えて、全国共通の枠組みでの研修体系づくりが検討されています。研修計画は年度単位で組むものなので、動きを早めに知っておくと動きやすくなります。
まとめ
2026年9月時点で言えるのは、次の3つです。
- 令和9年度改定の中身はまだ決まっていない。論点が示され、9月24日から個別のサービスごとの検討に入る段階
- 障害児支援では、人材育成・チーム支援・支援体制の評価、児発センターの中核機能、インクルージョン、医療的ケア児・重症心身障害児、家族支援が検討事項に挙がっている
- 令和8年度の臨時改定(処遇改善の拡充、新規指定の基本報酬の引下げ特例)はすでに施行済み
当社では、加算の取りこぼしや必須対応の抜けを一覧で点検したうえで、改定の動きに合わせた体制づくりをお手伝いしています。改定を待つのではなく、今の制度で取り切れていないところから手をつけるのが、いちばん確実です。
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根拠資料
- 令和9年度障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)(障害福祉報酬改定検討チーム 第62回 資料2、2026年8月27日)
- 令和9年度障害福祉報酬改定の議論の状況について(社会保障審議会 障害者部会 第159回 資料1、2026年9月17日)
- 令和9年度障害福祉サービス等報酬改定に向けた検討の進め方について(案)(同 第55回 資料5、2026年4月28日)
- 障害福祉サービス事業者等の指定のガイドライン(厚生労働省・こども家庭庁、2026年6月)
- 障害福祉サービス等の質の確保について(こども家庭審議会 障害児支援部会 第20回 資料4、2026年7月22日)
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