【2026年度版】児発管が退職したら?児発管欠如減算の率・始まる月と、やむを得ない事由の「みなし配置」
放課後等デイサービス・児童発達支援で児童発達支援管理責任者(児発管)が退職すると、後任を置けないまま翌々月に入った時点から、利用者全員の基本報酬が減算されます。個別支援計画も作れなくなるため、事業所への影響が特に大きい人員欠如です。
この記事では、国の告示・通知・Q&Aで確認できる内容をもとに、児発管欠如減算の率と始まる月、研修が終わっていない人を一時的に児発管とする「やむを得ない事由」の特例(みなし配置)、退職が分かったときの手順を整理します。
この記事の根拠:留意事項通知(障発0330第16号、最終改正 令和8年5月28日 こ支障第147号)第二1(6)、児発管の要件を定めた告示(平成24年厚生労働省告示第230号)、人員設備運営基準(平成24年厚生労働省令第15号)、児童福祉法第21条の5の20、国のQ&A・事務連絡。URLは記事末尾にまとめています。
児発管欠如減算の率と始まる月
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 減算の大きさ | 減算が適用される月から5か月未満は所定単位数の70%で算定(30%減)、連続5か月以上は50%で算定(50%減) |
| 掛ける対象 | 加算を足す前の所定単位数(基本報酬など) |
| 誰について | 利用している障害児全員(提供単位が複数ある場合は欠如した単位の全員) |
| いつから | 欠如した月の翌々月から。翌月の末日までに後任を配置して基準を満たせば、減算はありません |
| いつまで | 欠如が解消された月まで |
児発管は「1人以上は専任かつ常勤」でなければなりません。児発管がいても常勤・専任の要件を満たしていない場合も、同じく翌々月から減算の対象になります。
通知の文言に当てはめると、たとえば9月中に退職した場合、10月末までに後任を配置できれば減算なし、配置できなければ11月から減算、という読み方になります(国や自治体が示した計算例ではないので、具体的な月は指定権者に確認してください)。
児発管がいない間の影響は減算だけではない
- 個別支援計画が作れない:計画の作成は児発管に担当させることが運営基準で定められています。東京都は、児発管が不在の間は個別支援計画の作成も新規契約もできないとしています。岐阜県は、見直しが必要になった月から個別支援計画未作成減算になるという考え方を示しています。
- 2つの減算が重なったとき:児発管欠如減算と個別支援計画未作成減算の両方に当たる場合は、減算となる単位数が大きい方だけを適用するとされています(平成30年度Q&A VOL.3 問2)。
- 加算への影響:東京都のQ&Aでは、児発管が不在の間は児童指導員等加配加算、専門的支援体制加算、専門的支援実施加算、看護職員加配加算を算定できないとされています(国の通知で明記を確認できたのは共生型関係の加算のみなので、所管の自治体に確認してください)。
計画の手順と減算については個別支援計画未作成減算【2026年度版】で詳しく解説しています。
後任が見つからないときの「やむを得ない事由」の特例(みなし配置)
児発管になるには実務経験と研修の修了が必要ですが、告示には、やむを得ない事由で児発管が欠けた場合に、研修が終わっていない人を一時的に児発管とみなせる特例があります(障害福祉サービスのサービス管理責任者と同じ仕組みです)。
| 区分 | みなせる期間 | 対象になる人 |
|---|---|---|
| 通常 | 事由が発生した日から1年間 | 児発管の実務経験の要件を満たしている人 |
| 延長 | 実践研修を修了するまで、事由が発生した日から最長2年間 | 実務経験の要件を満たし、欠如の時点で基礎研修(相談支援従事者初任者研修の講義部分を含む)を修了していて、欠如以前から引き続きその事業所に配置されている人 |
みなし期間中に基礎研修を修了しても、2年間には延びず、当初の起算日から1年間のままです(国のQ&A)。延長の仕組みは2023年6月30日の告示改正で入りました。
「やむを得ない事由」に当たるかは自治体が判断する
国のQ&Aでは、やむを得ない事由を「退職、病休など事業者の責に帰さない事由により欠如した場合で、かつ、直ちに後任を配置することが困難な場合」とし、該当するかは指定権者である自治体が個別に判断するとしています。自治体の運用には次のような差があります。
| 自治体 | 認められる例 | 認められない例 |
|---|---|---|
| 茨城県 | 急死、事故、自己都合などで急に退職・休職し、法人が予見できなかった場合(退職予定日の1か月前程度) | 出産、定年退職、定期人事異動、退職予定日の1か月以上前に申告があった場合、法人側のハラスメント等が原因の退職 |
| 大阪府 | 急死、事故、急病、自己都合で急に退職した場合(法人が予見できなかった場合のみ) | 法人内の人事異動、交代までに概ね30日以上の期間があった自己都合退職 |
| 神戸市 | 急死、事故、急病、自己都合で急に退職した場合 | 法人内の人事異動、産休・育休、退職の申出後に概ね30日以上あった場合など |
| 福島県 | 病気・けがによる長期休職、急な退職、産前産後休暇・育児休暇による欠如など | 定年退職など予期できる退職 |
同じ産休・育休でも自治体によって扱いが分かれるように、判断基準は全国一律ではありません。欠如することが分かった時点で、すぐ指定権者に相談することが大切です。
児発管の退職が分かったときの手順
- 欠如することが分かった時点で、すぐ指定権者に相談する:退職日、理由、後任の見込みを伝え、みなし配置の対象になるか確認します(茨城県などは事前相談・協議を求めています)。
- 後任を探す:法人内の有資格者の異動を検討し、並行してハローワーク等で求人を出します。自治体によっては、みなし配置の申出に求人票の写しが必要です。
- 後任の要件を確認する:実務経験の年数、基礎研修・実践研修・更新研修の修了状況を証明書で確認します。東京都は、研修の修了証が確認できない状態では児発管として着任の届出ができないとしています。
- 変更届を出す:児発管の変更は、変更から10日以内に指定権者へ届け出ることが児童福祉法で定められています。みなし配置の場合は、申出書や実務経験証明書などを添付します(様式は自治体ごと)。
- 翌月末を目安に動く:翌月の末日までに基準を満たせなければ、翌々月から減算が始まります。
- 加算の届出も確認する:算定要件を満たさなくなる加算があれば、あわせて届け出ます。
TS assistでは、茨城県と宇都宮市で実際にみなし配置の手続きを支援してきました。どちらも流れは上記のとおりで、欠如することが分かった時点ですぐに相談することが、みなし配置を認めてもらううえで最も重要です。退職日が近づいてからの相談では、「予見できた」と判断されて対象外になるおそれがあります。
児発管の要件をおさらい(後任を探すとき)
- 実務経験:相談支援業務や直接支援業務などで一定の年数(おおむね3〜8年。資格の有無や業務の種類で異なる)が必要です。細かい区分は告示と指定権者の案内で確認してください。
- 研修:基礎研修(相談支援従事者初任者研修の講義部分を含む)→ 実務(OJT)→ 実践研修の修了が必要です。実践研修を受けるには、基礎研修修了後に原則2年以上の実務が必要ですが、基礎研修の受講開始時点で実務経験を満たしている人が個別支援計画の作成業務に従事し、指定権者に届け出た場合は6か月以上に短縮されます(2023年6月30日改正、計画作成業務はおおむね計10回以上が基本)。
- 更新研修:実践研修を修了した翌年度から5年度ごとに更新研修が必要です。期限までに修了しないと基礎研修修了者の扱いに戻り、実践研修を受け直すことになります。
- 2人目の配置:児発管がいる事業所では、基礎研修修了者に個別支援計画の作成業務を行わせ、児発管に加えて配置することができます。普段から2人目を育てておくことが、退職時の一番の備えになります。
2026年5月の人員欠如減算の猶予特例は使える?
2026年5月28日の通知改正で、突発的な事情による1割以内の人員欠如について、1年に1回、翌々月まで減算を猶予する特例ができました(猶予特例の記事)。ただし、この特例は通知上「児童発達支援管理責任者を除く」従業者の欠如の規定に対する特例として書かれており、児発管の欠如は別の項目で扱われています。国のQ&Aにも児発管への適用は書かれていないため、児発管の欠如で使えるとは考えず、みなし配置の相談を優先してください。
児発管の兼務のルール
- 児発管は管理者と兼務できます(令和6年5月17日Q&A 問12)。
- 多機能型事業所では、他のサービスの児発管やサービス管理責任者とも兼務できます。
- 児発管と、直接支援にあたる児童指導員等は別の人でなければなりません。児発管が直接支援をしても、児童指導員等の人数には数えられません。
人員配置の全体像は人員配置基準【2026年度版】、運営指導で確認される書類は運営指導チェックリスト【2026年度版】、減算リスクは無料の必須対応・減算ナビで確認できます。
まとめ
- 児発管が欠けると、翌々月から解消した月まで利用者全員が減算(5か月未満は30%減、5か月以上は50%減)。翌月末までに配置すれば減算なし。
- やむを得ない事由なら、実務経験のある人を1年間(条件を満たせば最長2年間)児発管とみなせる。該当するかは自治体が判断し、基準は自治体ごとに違う。
- 欠如することが分かった時点ですぐ指定権者に相談し、変更から10日以内に変更届を出す。
- 計画作成の業務を経験した2人目を育てておくことが、最大のリスク対策。
「児発管が退職することになった」「みなし配置の対象になるか分からない」という場合は、障害福祉専門のTS assistに早めにご相談ください。
根拠資料
- 留意事項通知 新旧対照表(令和8年5月28日 こ支障第147号):第二1(6)②(二)、④(一)〜(五)
- 平成24年厚生労働省告示第230号(児発管の要件、厚生労働省 法令等データベース):第一号(実務経験)、第二号(研修)、第五号、第六号、第七号(やむを得ない事由)
- 事務連絡「サービス管理責任者等に関する告示の改正について」(令和5年6月30日、和歌山県掲載)
- 令和5年度におけるサービス管理責任者等研修制度の変更に関するQ&A(青森県資料に収録):問1、問4、問5、問8〜10
- 児童福祉法(e-Gov):第21条の5の20第3項、人員設備運営基準(e-Gov):第5条、第27条、第66条
- 障害福祉サービス等報酬(障害児支援)に関するQ&A一覧(令和6年6月10日時点):児童発達支援管理責任者(令和6年5月17日 問12)
- 平成30年度報酬改定等に関するQ&A VOL.3(名古屋市掲載):問2
- 茨城県、大阪府、神戸市、福島県:やむを得ない事由による配置の運用
- 東京都 障害児通所支援 指定申請・変更届Q&A、岐阜県「運営に係る注意点等について(児童系サービス編)」:児発管不在時の計画・加算の扱い
本記事は2026年9月15日時点の告示・通知・Q&Aと各自治体の公表資料に基づいています。やむを得ない事由の判断や届出の方法は指定権者ごとに異なるため、必ず所管の自治体に確認してください。
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