ADHDは友達がいない？友達作りが苦手な理由と支援方法を解説

ADHDの子どもは、友達がいなかったり友達作りが苦手だったりと、人間関係に悩むことも多いでしょう。

また、友達と遊んでいてもトラブルを起こしてしまう、という子どもも少なくありません。

この記事では、ADHDの子どもが友達作りが苦手な理由と、支援方法について解説します。

この記事を読むことで、友達作りが苦手なADHDの子どもにするべき対策法がわかり、友達と上手にコミュニケーションが取れるようになるでしょう。

発達障害「ADHD」とは？

ADHDは、注意欠陥・多動症のことで、発達障害の概念の1つです。

ここでは、発達障害とは何か、ADHDの症状と特徴について詳しく解説します。

発達障害とは

発達障害とは、発達障害者支援法において「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。

発達障害は、記憶しておくことが苦手、自分の話ばかりしてしまうなど、さまざまなタイプがあります。

複数の障害が重なり合っている場合が多く、発達障害を明確な種類で分けて診断することは難しいといわれています。

参考：厚生労働省『発達障害の理解のために』

ADHDはなぜ友達が離れていく？ADHDの症状と特徴

発達障害の中でも、ADHDは集中力が続かない、気が散りやすいといった不注意の症状と、落ち着きがない、待つことが苦手などの多動・衝動性という特徴があります。

これらの特徴は、友達とのコミュニケーションや学校生活でも支障をきたす場合があり、友達ができにくい原因にもなるでしょう。

参考：厚生労働省『ADHD（注意欠如・多動症）の診断と治療』

ADHDの子どもが友達を作るのに苦労する理由

ADHDの子どもは活発な子が多く、友達との話を広げやすい傾向にあります。一方で、約束を忘れてしまったり衝動的な行動を取ってしまったりと、友達とのトラブルが多く見受けられます。

どのような理由から友達作りに困難が生じてしまうのか、その理由について解説します。

相手の気持ちを理解することが苦手

ADHDは、想像力が乏しい傾向にあるため、相手の気持ちを読み取ることや場の雰囲気を察することが苦手です。

また、言われた言葉をそのままの意味で捉えてしまうため、友達が冗談で言った一言を理解できず、トラブルに発展してしまうということも少なくありません。

約束を忘れてしまうことがある

記憶しておくことが苦手なADHDの子どもは、友達との約束を忘れてしまい、トラブルになることがあります。

記憶力の障害は、友達関係だけでなく、学習においても困難が生じる可能性があるでしょう。

自分が話したいことだけを話してしまう

衝動的に今思ったことを思いついたまま言葉にしてしまい、悪気があって言ったことではなくても、相手が不快に思ってしまいトラブルになることもあるでしょう。

今どんなことを伝えたいのか、相手に伝えてもいいことなのかなど、自分の気持ちの伝え方を学んでいくことが大切です。

物事をネガティブにとらえてしまう

学校などでトラブルがあった場合、友達から否定的な言葉を言われることも少なくありません。

このような経験が積み重なると、また失敗してしまうのではないかと物事をネガティブに捉えてしまうようになってしまいます。

こだわりが強い

ADHDに自閉スペクトラム症が併存する場合、興味の偏りやこだわりが強いといった特徴もみられます。

こだわりの強さから遊びのルールなどを友達に強要してしまい、トラブルにつながることもあるでしょう。

友達がいないADHDの子どもが行うべき対策

友達付き合いが苦手な原因を解消することで、友達と仲良く過ごせるようになる可能性があります。

ADHDの子どもが友達と上手く付き合っていくための対策について解説します。

相手の気持ちを理解できるようになる

友達との関わりの中で、相手の気持ちを理解できるようになることは、良好な人間関係の構築にもつながります。

相手の気持ちを考えた声かけや行動をできるようにするためにも、友達との関わり方をしっかりと教えていきましょう。

自分の気持ちを伝えられるようにする

自分の気持ちをうまく伝えられず、友達作りを諦めてしまっている子もいます。

今、自分がどんな気持ちなのかを理解し、感情に合わせた行動ができるようにサポートしていくことが大切です。

遊びのルールやマナーを学ぶ

ADHDの子どもは、ルールやマナーの理解が難しい傾向にあります。

遊びの中で少しずつルールを学ぶ、生活の中でマナーを教えるなど、根気強く教えることが大切です。

約束を守れるように練習する

障害により、忘れているつもりはなくても記憶に留めておくことが難しい場合があります。

忘れない対策や親御さんに協力をしてもらい、友達との約束を守る練習を行いましょう。

周りに助けてほしい時に頼れるようにする

自分の気持ちを話すのが苦手、失敗を隠したいなどの理由で、先生や周りの大人に助けを求められないことがあります。

困っているときに周りの人に頼れるということは、ADHDの子どもにとって重要です。理解が難しいことは周りの人に聞き、適切な行動が取れるように支援しましょう。

親子でできるADHDの子どもの支援方法

ADHDの子どもが学校生活などで良好な友達関係を築くためには、親御さんの協力が不可欠です。

親子でできるADHDの子どもの支援方法について、解説します。

親が子どもの特徴を把握する

まずは、子どもにどのような特徴があるのか、どのようなことが苦手なのかを親御さんが把握することで、最適な支援につながります。

ADHDの子どもの特徴は、1人ひとり異なります。その子に合った方法を見つけ、親子で問題を解説していきましょう。

学習や遊びの場面での友達との関わり方を教える

学校の授業では、問題を解くだけでなく自分の考えを伝える場面があります。

その子の得意な教科、苦手な教科を把握しサポートすることで、学習の中で友達とコミュニケーションが取れる可能性があるでしょう。

また、子どもは遊びの場で友達との関わりを学びます。トラブルが起きないように、子どもと一緒に遊びながら遊びのルールを教える、勝ち負けのある遊びでは負けてもいいことを教える、などの支援が大切です。

自分の気持ちを伝えられるようにサポートする

自分の気持ちをうまく相手に伝えられず、手が出てしまう子もいます。親御さんは、子どもが気持ちを言葉にして伝えられるようにサポートすることが大切です。

今、自分がどんな気持ちなのかを理解させる、感情に合わせた行動を教えるなどの対策で、少しずつ気持ちを言葉にすることが上手になるでしょう。

集団でのルールを具体的に教える

学校は集団生活なので、順番を守ったり当番などの役割があったりと、学校内でのルールも多くあります。

どの程度ルールを理解しているのかを把握し、間違えて理解してしまっているものは正しいルールを説明してあげましょう。

友達との約束を忘れないようにメモを残す

約束を忘れてしまうのもADHDの特徴なので、約束を守る練習をすることで改善が期待できます。

友達と約束したことを親に報告してもらい、親もその予定を控えておきましょう。また、友達と約束した場合は、メモに取るなどの工夫をすると良いでしょう。

また、予定を詰め込みすぎても、いつ何があるのか把握しきれなくなってしまいます。無理なスケジュールは組まないように、親子で話し合っておくことも大切です。

できたことは褒めて自己肯定感を高める

友達とのやり取りで失敗してしまったり怒られてしまったりと、ネガティブな気持ちになることがあります。

そのため、今までできなかったことが少しでもできるようになった時や、頑張って意識できた時は、たくさん褒めてあげましょう。

「できた」という経験を増やし、自己肯定感を高めることが自信にもつながっていきます。

友達がいないADHDの子どもに適切な支援をしよう【まとめ】

発達障害の1つであるADHDは、友達作りが苦手な場合が多く、学校生活で支障が生じる場合があります。そのため、1人ひとりの特徴を把握し、適切な支援をすることが大切です。

自分の気持ちを伝えられるようにする、遊びのルールを教える、約束を守れるように練習するなど、親子で一緒にできることから取り組んでいきましょう。

今までできなかったことができた時には、思いっきり褒めてあげると今後友達とのコミュニケーションに自信が持てるでしょう。