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放課後等デイサービスQ&A
2024.04.19

【令和6年度改定】5領域の支援とは?個別支援計画書の具体例や対応策を解説

【令和6年度改定】5領域の支援とは?個別支援計画書の具体例や対応策を解説

令和6年度の報酬改定により、児童発達支援において5領域の全てを含めた総合的な支援が必須となりました。

この改定に合わせて、個別支援計画書の内容も5領域のつながりを明確にする必要がありますが、具体的な記載方法がわからない方も多いでしょう。

この記事では、児童発達支援における5領域支援の概要や、個別支援計画書の具体例を解説します。

この記事を読むことで、5領域に対応した個別支援計画書の記載方法や支援内容に関する対応策がわかるでしょう。

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令和6年度児童発達支援ガイドライン改定内容

障がい児に対して行う支援の質の確保と向上を図るため、支援方法や内容の見直しが行われました。

ここでは、令和6年度に改定された児童発達支援ガイドラインの内容について解説します。

参考:こども家庭庁『児童発達支援ガイドライン等の概要

5領域を全て含む個別支援計画の作成と支援の提供

今回の改定で、「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の5領域全てを網羅した個別支援計画の作成と支援の提供が義務化されました。

乳幼児期の子どもが日常生活や社会生活を円滑に営むためには、この5領域の能力の向上が不可欠です。

今後事業所は、1人ひとりに対応したオーダーメイドの支援の提供や、療育の内容の見直しを行う必要があるでしょう。

支援プログラムの作成・公表に関する規定

総合的な支援と支援内容の見える化を促進する観点から、5領域との関連性を明確にした支援計画(児童発達支援プログラム)の作成・公表が必須になりました。

支援プログラムの作成と公表を怠った場合、新設された支援プログラム未公開減算の対象となり、所定単位数の85%のみの算定となります。

この支援プログラム未公開減算は、令和7年4月1日から適用されるため、1年かけて支援プログラムの作成と公表に関わる準備を行っていきましょう。

5領域の支援内容と個別支援計画書の具体例

5領域の支援とは、具体的にどのような支援内容なのでしょうか?

それぞれの概要と、5領域ごとの個別計画書の記載方法について解説します。

参考:こども家庭庁『児童発達支援ガイドライン(素案)

「健康・生活」

「健康・生活」に関する支援のねらいは、以下のとおりです。

  • 健康状態の維持・改善
  • 生活のリズムや生活習慣の形成
  • 基本的生活スキルの獲得

次に、詳しい支援内容についてみていきましょう。

  1. 健康状態の把握:健康な心と体を育て、健康で安全な生活を送れるよう支援する。また、子どもの心身の状態を細かく確認し、普段とは異なる状態を見つけた場合は、必要な対応を行う。その際、意思表示が困難な子どもの障がいの特性や発達の過程・特性などに配慮し、小さな心身の異変に気づけるように観察を行う。
  2. 健康の増進:睡眠、食事、排泄の基本的な生活のリズムを身に付けられるように支援する。また、楽しく食事ができるよう食育に努めるとともに、口腔内機能や感覚などに配慮しながら、咀嚼・嚥下の接触機能、姿勢保持、手指の運動機能の状態に応じた自助具などの選定を行う。病気の予防や安全への配慮を行う。
  3. リハビリテーションの実施:日常生活や社会生活を営めるよう、それぞれの子どもがもつ機能をさらに発達させながら身体的、精神的、社会的支援を行う。
  4. 基本的生活スキルの獲得:子どもが食事、排泄、睡眠、衣類の着脱、身の回りを清潔にすることなどの生活に必要な基本的なスキルを獲得できるよう、適切な時期に適切な支援を行う。
  5. 構造化などにより生活環境を整える:生活の中で、さまざまな遊びを通した学びが促進されるよう環境を整える。また、障がいの特性に配慮し、本人がわかりやすいように時間や空間を構造化する。

これらの支援内容を反映した、個別支援計画書の記載例は以下のとおりです。

  • 利用時に、検温や口頭での質問により健康状態の確認を行う
  • お菓子や料理作りを通して、食育を行う
  • 決められた時間の中で行動できるように支援を行う

「運動・感覚」

「運動・感覚」に関する支援のねらいは、以下のとおりです。

  • 姿勢と運動・動作の向上
  • 姿勢と運動・動作の補助的手段の活用
  • 保有する感覚の総合的な活用

次に、詳しい支援内容についてみていきましょう。

  1. 姿勢と運動・動作の基本的技能の向上:日常生活に必要な姿勢保持、上肢・下肢の動作改善および習得、関節の拘縮や変形の予防、筋力の維持・ 強化を図る。
  2. 姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用:姿勢保持や運動・動作が難しい場合、姿勢保持装置などの補助用具を活用し、これらの動作ができるように支援する。
  3. 身体の移動能力の向上:自力での身体移動や歩行、歩行器や車いすによる移動など、日常生活に必要な移動能力の向上のための支援を行う。
  4. 保有する感覚の活用:視覚、聴覚、触覚などの感覚を十分に活用できるよう、遊びを通して支援する。
  5. 感覚の補助および代行手段の活用:保有する感覚器官を用いながら眼鏡や補聴器などの補助機器で感覚の補助を行えるよう、代行手段による支援を行う。
  6. 感覚の特性(感覚の過敏や鈍麻)への対応:感覚や認知の特性(感覚の過敏や鈍麻)を把握し、感覚の偏りに対する環境調整などの支援を行う。

これらの支援内容を反映した、個別支援計画書の記載例は以下のとおりです。

  • 遊びを通して日常生活に必要な運動機能の維持・向上を図る
  • 歩行器を使用しながら施設内の移動ができるよう、体幹や下肢筋力を強化し移動能力の習得を目指す
  • イヤーマフなどを活用し、感覚過敏に配慮した環境設定を行う

「認知・行動」

「認知・行動」に関する支援のねらいは、以下のとおりです。

  • 認知の発達と行動の習得
  • 数や空間・時間などの概念形成の習得
  • 対象や外部環境の適切な認識と行動の習得

次に、詳しい支援内容についてみていきましょう。

  1. 感覚や認知の活用:必要な情報を、視覚や聴覚などの感覚から得られるように支援を行う。
  2. ​​知覚から行動への認知過程の発達:情報の収集から行動までの認知過程の発達を支援する。
  3. 認知や行動の手掛かりとなる概念の形成:物体の形や機能、空間や時間を把握・認識し、行動の手掛かりとなるように支援する。
  4. 大小、色、数量などの習得:物の大きさや色彩、数の数え方などを認識できるよう支援する。
  5. 認知の偏りへの対応:1人ひとりの特性や偏りに配慮した上で、的確な情報処理ができるよう支援する。食の嗜好に偏りがある場合や強いこだわりに対する支援も行う。
  6. 行動障がいへの予防と対応:個々の特性や認知の偏りで生じる行動障がいを予防し、その対応方法を支援する。

これらの支援内容を反映した、個別支援計画書の記載例は以下のとおりです。

  • 色や形の違うブロックを使って、物を識別する能力の習得を目指す
  • ビジョントレーニングにより視覚情報から行動までの発達を促す
  • 音楽やリズム遊びの中で五感の発達を促す

「言語・コミュニケーション」

「言語・コミュニケーション」に関する支援のねらいは、以下のとおりです。

  • 言語の形成と活用
  • 言語の受容と表出
  • コミュニケーションの基礎的能力の向上
  • コミュニケーション手段の選択と活用

次に、詳しい支援内容についてみていきましょう。

  1. 言語の形成と活用:具体的な物や体験と言葉の意味を結びつけ、言語の習得や自ら言葉にできるよう支援を行う。
  2. 受容言語と表出言語の支援:会話や文字・記号などにより、相手の言葉を理解する力と自分の言いたいことを相手に伝える力の向上を支援する。
  3. 人との相互作用によるコミュニケーション能力の獲得:人と人との関わりの中で、他者の気持ちを理解する能力やコミュニケーション能力の向上のための支援を行う。
  4. 指差し、身振り、サインなどの活用:指差しや身振り、サインを用いて、環境の理解と自分の意思を伝えられるよう支援する。
  5. 読み書き能力の向上のための支援:障がいの特性に応じた、読み書き能力の向上のための支援を行う。
  6. コミュニケーション機器の活用:絵カードや各種の文字・記号、機器(パソコン・タブレットなどのICT機器を含む)のコミュニケーション手段を適切に選択・活用し、環境の理解と意思疎通が円滑にできるよう支援する。
  7. 手話、点字、音声、文字などのコミュニケーション手段の活用:手話、点字、音声、文字、触覚、平易な表現による多様なコミュニケーション手段を活用し、環境の理解と自分の意思を伝えられるように支援する。

これらの支援内容を反映した、個別支援計画書の記載例は以下のとおりです。

  • 実際の生活場面を想定したコミュニケーション方法の反復練習を行う
  • 絵を見てその状況を言葉で表現できるように訓練を行う
  • 伝言ゲームなどの言葉を使った訓練を実施する

「人間関係・社会性」

「人間関係・社会性」に関する支援のねらいは、以下のとおりです。

  • 他者との関わり(人間関係)の形成
  • 自己の理解と行動の調整
  • 仲間づくりと集団への参加

次に、詳しい支援内容についてみていきましょう。

  1. アタッチメント(愛着行動)の形成:身近な人と親密な関係を築き、その信頼関係を基盤としながら周囲の人と安定した関係性を築けるよう支援を行う。
  2. 模倣行動の支援:遊びを通して他者の動きを真似ることで、他者や社会との関わりの芽生えを支援する。
  3. 感覚運動遊びから象徴遊びへの支援:感覚機能や運動機能を向上させる遊びから、見立て遊びなどの象徴遊びを通して社会性の発達を支援する。
  4. 1人遊びから協同遊びへの支援:周囲の子どもに関心のない子どもに対し、並行遊びや大人が間に入り行う連合的な遊び、役割分担しルールを守って遊ぶ協同遊びを通して少しずつ社会性を身につけられるよう支援する。
  5. 自己の理解とコントロールのための支援:大人を介して自分の行動の特徴を理解するとともに、気持ちや情動を調整できるように支援する。
  6. 集団への参加の支援:集団へ参加する手順やルールについて学び、遊びなどの集団活動に参加できるよう支援する。

これらの支援内容を反映した、個別支援計画書の記載例は以下のとおりです。

  • おままごとやごっこ遊びを通して他者との交流を図る
  • 指導員が介入しながら集団活動に参加する

5領域を含めた支援に向けての準備やポイント

現状で行っている支援を、どのように5領域を含めたプログラムに変更していけばよいか悩む場合もあるでしょう。

ここでは、5領域を含めた支援に向けての準備や流れ、ポイントを解説します。

現段階で提供している支援内容を5領域に分類する

5領域の中で、いくつかの支援内容を実施している事業所も多いでしょう。

まずは、事業所で提供している支援内容が5領域のどの分野に当てはまるのかを把握することが大切です。

この作業を行うことで、事業所の支援内容の強みと弱みを知ることができ、今後どの分野の支援内容を充実させていくべきかが見えてきます。

不足している分類の支援内容を補足していく

現在行っている支援内容を5領域ごとに分類したら、事業所に不足している分類の支援内容を補足していきます。

今まで行っていたプログラムにプラスして幅のある支援内容にしたり、新たにプログラムを考案したりと、対応策を検討しましょう。

支援内容・アセスメント方法などを整理する

プログラムを考案する際は、支援内容と共に実施後の評価をどのように行うかという点も考慮しながら検討する必要があります。

プログラムごとに明確な指標や評価基準があると、個別支援計画書の作成やアセスメントがスムーズに行えるでしょう。

5領域に対応した個別支援計画を作成しよう【まとめ】

児童発達支援において、5領域の全てを含めた支援の実施と、支援プログラムの作成・公表が必須となりました。

これらを怠った場合、支援プログラム未公開減算の対象となるため、今後はより個別性を重視した質の高い支援の実施が求められます。

TS assistでは、児童発達支援などの運営者に対してコンサルティングサービスを行っており、5領域に基づいたアセスメントや療育内容の提供が可能です。法改正後の対応に不安のある方も、運営経験豊富なスタッフがオーダーメイドでサポートします。

今後は、現段階の支援プログラムを見直し、5領域全ての内容を網羅したプログラムの提供ができるよう対策を進めていきましょう。

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