一つ一つの行動が遅い子どもの原因は？特徴と適切な対応方法を解説

子どもがなかなか支度をしてくれない、時間通りに動いてくれないなど、イライラしてしまった経験があるのではないでしょうか？

しかし、一つ一つの行動が遅い子どもにはいくつかの原因があります。

この記事では、行動が遅い子どもの原因や特徴、対応方法を解説します。

この記事を読むことで、子ども一人ひとりの特性に寄り添った声かけができるようになるでしょう。

行動が遅い子どもに多い発達障がいの特徴

ADHDなどの発達障がいがある子どもの場合、特性により行動が遅くなってしまうことがあります。

ここでは、行動が遅い子どもに多い特徴について解説します。

参考：厚生労働省『発達障害の理解のために』

行動の優先順位をつけるのが難しい

発達障がいのある子どもは、やらなければならない行動に優先順位をつけるのが難しい場合があります。

衝動的に行動してしまう、興味のあることだけに集中してしまうなどの行動は、発達障がいの特性によるものです。そのため、やりたくないことや苦手なことに対しての行動が遅くなってしまうことがあります。

時間の感覚を把握しにくい

今やっていることに意識が集中してしまい、時間の感覚を把握しにくいということも、発達障がいの子どもに多い傾向の1つです。

そのため、時計は読めても次の作業に取り組むまでにあと何分あるのかなど、未来のことに対しての予測が難しく、行動が遅くなってしまいます。

時間の感覚を身につけていくには、行動までの時間を把握できるような適切な声かけや工夫が必要です。

すばやく次の行動への切り替えができない

発達障がいのある子どもは、気持ちや行動の切り替えがスムーズにできず、癇癪（かんしゃく）を起こすことがあります。

切り替えが苦手な主な原因として、見通しを立てることが苦手、具体的な指示や行動が理解できていないなど、やるべきことを明確に把握できていないという点が挙げられます。

その子に合った対処法を見つけ、上手に切り替えができるような支援が必要です。

子どもを急かす声かけはNG！「早くして！」が及ぼす影響

なかなか行動ができない子どもに対して、「早くして！」や「急いで！」などの声かけは適切ではありません。

ここでは、行動を急かすような声かけが子どもに与える影響について解説します。

自信を失ってしまう

発達障がいのある子どもは、今やっていることに集中してしまうことや気持ちの切り替えの難しさから、次の行動に移るまでに時間がかかります。

これらの原因は障がいの特性によるものなので、急かすような声かけは自分自身を否定されているように感じてしまい自信喪失につながりかねません。

苦手な部分や不安に感じていることを親や支援者がしっかりと受け止め、子どもに寄り添いながらゆっくりとサポートしていくことが大切です。

自分で考えることをやめてしまう

毎日急かすような声かけを行っていると、自信を失うだけでなく自分で何かをやってみようという気持ちもなくなってしまいます。

自ら行動することで脳の発達が促進されるため、少しでも自分で行動できた時には思いっきり褒めてあげましょう。

小さな成功体験を積み重ねると「もっとやってみよう！」と自立心を高めることにもつながります。

ケアレスミスが増える

急かすような声かけは、焦る気持ちから何からやればよいのかわからなくなり、注意力が散漫になります。

そのため、テストで問題を読み間違えてしまったり、急ぐあまり道路に飛び出してしまったりと、慌てる気持ちがケアレスミスや思わぬ事故につながる可能性があります。

急ぐあまりに取り組みが適当になってしまう

普段は丁寧な取り組みができていても、周りから急かされると「急ぐ」という部分に意識が向いてしまい、作業や物の扱いが雑になってしまいます。

子どもの特性や日ごろの行動をよく把握し、見守ることが大切です。

相手を待つことができなくなってしまう

親や支援者が常に「急いで！」「早くして！」と急かすような声かけをしていると、友達を待つことができなかったり、相手に急ぐような声かけをしてしまったりすることがあります。

親から子どもへの声かけは、子どもの人格形成に大きな影響をもたらします。友達と良好な関係を築くためにも、親や支援者は落ち着いた対応が必要です。

行動が遅い子どもへの対応方法

行動がゆっくりな子どもには、適切な声かけや対応を行うことで、次にやるべき行動が理解できるようになる可能性があります。

ここでは、行動が遅い子どもへの対応方法について解説します。

やるべきことを明確にする

親や支援者が「急いで！」と声かけしていても、子どもはなぜ急がなければいけないのかがわかっていない場合があります。

これからやるべきことを明確に伝え、なぜ急がなければならないのかという理由を一緒に伝えると、子どもが理解しやすくなるでしょう。そして、一度にいくつもの指示を出すのではなく、1つの行動に絞って行動を促すことで、何をすればよいのかがより明確に伝わります。

また、言葉で伝えてもなかなか効果が見られない場合は、やるべきことをホワイトボードなどに書き、目で見てわかるようにしておくことも有効です。

発達障がいのある子どもは視覚優位の子どもも多いため、やるべきことを見える化することで行動がスムーズになる可能性があるでしょう。

具体的な時間を伝える

時間の感覚が把握しにくい子どもには、ただ単に「急いで！」と言っても、どれくらい急げばよいのか、何時までにやればよいのかがわかりません。

「8時に家を出るから、7時30分までにごはんを食べてね」などと具体的な時間を伝えることで、今後の見通しを把握しやすくなり、行動が早くなる可能性があるでしょう。

時計が読めない子どもの場合は、「長い針が12で短い針が8になったら家を出るよ」とわかりやすく伝える工夫も必要です。

このような声かけとともに、タイマーを活用し行動するまでの時間を設定すると、さらに時間に対する意識が高まっていきます。

今できていることを褒める

少しでも自分で意識して行動ができた時には「頑張って準備できたね！」「時間通りに出発できたよ、ありがとう！」と自信につながる声かけを行いましょう。

なかなか行動しない子どもに対して、できていない部分につい目が行きがちですが、小さな「できた」を増やしていくことが大切です。

子どもが一人で行動できるようになるまでは、親や支援者が子どもの気持ちに寄り添い、成功体験を積み重ねていきましょう。

「行動しよう」と思えるような工夫をする

発達障がいのある子どもは、自分が楽しいと思えることに対しては行動が早い傾向にあります。そのため、一つ一つの行動に対して、やりたいと思えるような工夫が必要です。

例えば、時間内に支度ができたらお菓子をもらえる、ママと競争しながらゲーム感覚で支度をするなど、楽しいと思えるような工夫をすることで、自分から行動するようになっていきます。

日ごろの遊びや子どもの好きなことを活用し、上手に気持ちを高めてあげるとスムーズな行動につながるでしょう。

一つ一つの行動が遅い子どもには適切な声かけが重要【まとめ】

行動が遅い子どもは、ADHDなどの障がいの特性により、行動の優先順位をつけるのが難しい、時間の感覚を把握しにくいなど、人よりも行動に時間がかかる場合があります。

このような子どもに対し、「急いで！」「早くして！」などと行動を急かすような声かけはNGです。

やるべきことを明確に伝えたり、具体的な時間を伝えたりと、よりわかりやすく伝えると時間に対する意識が芽生えていきます。

子どもが自信を持って行動ができるように、子どもの特性を把握した上で適切な声かけを行っていきましょう。