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放課後等デイサービス報酬改定
2024.02.07

【令和6年度】放課後等デイサービス報酬改定|基本的な方向性や主要項目を解説

【令和6年度】放課後等デイサービス報酬改定|基本的な方向性や主要項目を解説

放課後等デイサービスなどの障がい福祉サービスでは、令和6年度に報酬改定が実施される予定です。今後どのような支援を実施した場合に評価の対象になるのかという内容にかかわるため、各事業所は基本的な方向性について確認しておく必要があります。

この記事では、令和6年度の障がい福祉サービス報酬改定の内容を詳しく解説します。

この記事を読むと、必要な人材を確保した上で利用者に必要なサービスを提供できる体制を構築できるでしょう。

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【令和6年度】報酬改定の方向性について

障がい福祉サービス事業の需要が高まる一方で、以前より人材不足や低賃金が問題視されていました。

この問題を解決するために、職員に対する処遇を改善し、必要な人材を確保できるように検討が進められています。

今後は、専門性の高いサービス提供や事業所独自の取り組みに対して、報酬の改定が行われる予定です。

参考:厚生労働省『令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について(案)』

報酬改定における主要事項

障がい者が望むサービスの実現に向けての対応や、良質なサービスを提供した場合に、報酬の見直しが検討されています。ここでは、主な事項を確認していきましょう。

障がい者が希望する地域生活を実現する地域づくり

どこにいても障がい者が希望するサービスを提供できる支援体制や、地域ごとにどのような需要があるのかを把握し、適切に対応することが求められています。

また、医療との連携、精神障がい者への支援の充実を図ることも、今後解決すべき課題の一つです。

障がい者が希望する地域生活を実現・継続するための支援の充実

主な改定項目は、以下のとおりです。

  • 地域生活支援拠点の整備の推進を含めた障がい者の地域移行を促進
  • グループホームにおける一人暮らしの実現、支援の実態に応じた適切な評価
  • 障がいの重度化や障がい者の高齢化の地域ニーズへ対応
  • 地域における自立した生活を送るための機能訓練・生活訓練の充実
  • 相談支援の質の向上や提供体制を整備
  • 強度行動障がいを有する障がい者への支援体制を充実
  • 障がい者の意思決定支援を推進

地域生活支援に関する整備やグループホームを退所し一人暮らしをする障がい者に対して支援を実施している事業所は、評価の対象になります。また、経験豊富な従事者や専門的な技術を持つ人材による支援の実施、機能訓練や生活訓練の充実など、支援内容の強化に関する事項についても評価が改定されました。

さらには、支援内容の質の向上や医療ニーズのある障がい者・強度行動障がいを持つ障がい者に対する提供体制の整備も、今後重要な取り組みの1つとなります。

医療と福祉の連携の推進

主な改定項目は、以下のとおりです。

  • 医療的ケア児の成人期への移行にも対応した医療的ケアの充実
  • 重度障がい者が入院した際のコミュニケーション支援の充実
  • 障がい者支援施設における医療機関との連携強化・感染症対応力の向上
  • 相談支援と医療との連携促進

医療的ケア児が成長期へ移行した場合の受け入れ体制の拡充や、重度訪問介護との連携した支援の充実を図ることも、障がい者が生活しやすい地域作りにつながるでしょう。

精神障がい者の地域生活の包括的な支援

主な改定項目は、以下のとおりです。

  • 地域生活支援拠点の機能の充実
  • 自立生活援助および地域定着支援の対象者の明確化
  • 自立生活援助におけるサービス提供体制の推進
  • グループホームから一人暮らしに向けた支援の充実
  • グループホームにおける支援の実態に応じた報酬見直し
  • 自立訓練におけるピアサポートの専門性の評価
  • 相談支援と医療との連携促進
  • 多職種による包括的支援を中心とした、回復期の入院患者に対する医療や入退院の支援を含めた医療提供体制の評価

精神障がい者に対して、入院から退院後の地域生活までの支援が切れ目なく行えるよう、医療と障がい福祉サービスの連携を進める仕組み作りが重要です。これにより、精神障がい者が地域社会で自分らしい生活を送る手助けになるでしょう。

社会の変化等に伴う障がい児・障がい者のニーズへの対応

地域の障がい児支援体制の強化や個々の特性に応じた質の高いサービス提供を実施し、関係機関が一体となって対応していくことが求められています。

また、障がい者の就労に関する要件も見直されました。

障がい児に対する専門的で質の高い支援体制の構築

主な改定項目は、以下のとおりです。

  • 児童発達支援センターの機能強化による地域の支援体制を充実
  • 質の高い発達支援の提供を推進
  • 支援ニーズの高い児への支援充実
  • 家族支援の充実
  • インクルージョン推進
  • 障がい児入所施設における支援を充実
  • 障がい児相談支援の適切な実施・質の向上や提供体制の整備

これらの項目は、放課後等デイサービスにおいて今後取り組みを強化していくべき項目です。詳しい内容は、以下で解説します。

障がい者の多様なニーズに応じた就労の促進

主な改定項目は、以下のとおりです。

  • 就労移行支援事業の安定的な事業実施
  • 就労継続支援A型の生産活動収支の改善と効果的な取組の評価
  • 就労継続支援B型の工賃向上と効果的な取組の評価
  • 就労定着支援の充実
  • 効率的な就労系障がい福祉サービスの実施
  • 新たに創設される就労選択支援の円滑な実施

就労移行支援事業を安定化させることや工賃の見直しを行い、さまざまな就労ニーズに合わせた対応が進められます。また、適性に応じた就労選択支援の円滑な実施に向けて、対象者や要件の整備も行われます。

持続可能で質の高い障がい福祉サービス等の実現のための報酬等の見直し

主な改定項目は、以下のとおりです。

  • 賃金上昇を踏まえた安定的なサービス提供のための人材確保策
  • サービス提供事業者や自治体の事務手続きの標準化・簡素化・ICTの効率化等の方策
  • サービス提供の実態やサービス内容・質に応じた評価
  • 障がい者虐待の防止・権利擁護
  • 経過措置への対応(食事提供体制加算など)

賃金の改善や事務作業の効率化の対策を実施し、障がい者に安定したサービス提供を行うことが今後重要になります。

また、有資格者による専門性の高いサービスを提供した場合も評価の対象です。

障がい児や障がい者の対応に関する事項

報酬改定の中でも、主に障がい児や障がい者の対応に関する事項が放課後等デイサービスに関わる内容です。

今後どのような対応をしていけばよいのか、その詳細を解説します。

障がい児に対する専門的で質の高い支援体制の構築

障がい児に対する支援体制を構築する上で、7つの項目に関する改定が進められています。

児童発達支援センターの機能強化等による地域の支援体制の充実

  1. 障がい特性に関わらず身近な地域で支援を受けられる体制の整備
  2. 児童発達支援センターの機能・運営の強化

福祉型・医療型の類型を一元化し、福祉型の3類型(障がい児・聴児・重症心身障がい児)の区分も一元化される予定です。

また、地域の障がい児支援で重要な役割を担う児童発達支援センターは、体制や取組に伴い段階的な評価が検討されています。

質の高い発達支援の提供の推進

  1. 総合的な支援の推進と特定領域への支援の評価等
  2. 関係機関との連携強化
  3. 将来の自立等に向けた支援の充実

子どもの特性を把握した適切な支援を提供できるよう「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の5領域を全て含む支援を明確にしてサービス提供を行うことが求められています。

専門的な人材の配置によるサービス提供の実施や医療機関との連携、子どもが18歳以上になった時の自立支援の実施も、評価の対象です。

支援ニーズの高い児への支援の充実

以下の支援の充実が図られます。

  1. 医療的ケア児・重症心身障がい児への支援
  2. 強度行動障がいを有する児への支援
  3. ケアニーズの高い児への支援
  4. 継続的に学校に通学できない児童への支援
  5. 居宅訪問型児童発達支援

医療的なケアが必要な児童や強度行動障がいのある児童など、支援ニーズの高い子どもへのサポートを充実させていく必要があります。

家族支援の充実

  1. 家族への相談援助等の充実
  2. 預かりニーズへの対応

居宅への訪問による相談援助や事業所での相談援助など、家族のニーズに応じた支援の促進を行っている事業所について評価の見直しが行われます。

また、事情により支援時間外の利用を検討している方へサービスを提供した場合、延長支援として評価されます。

インクルージョンの推進

  1. 児童発達支援・放課後等デイサービスにおけるインクルージョン推進
  2. 保育所等訪問支援の充実

障がい児通所支援と保育所との併行通園や保育所等への移行を推進し、障がいの有無に関わらず全ての子どもが共に育つことができる環境整備を進めることとしています。

また、放課後等デイサービスを退所し放課後児童クラブへ移行する際に、連絡調整による移行支援を行っている場合も、今後評価される項目となるでしょう。

参考:厚生労働省『児童発達支援・放課後等デイサービスに係る報酬・基準について≪論点等≫

障がい児入所施設における支援の充実

  1. 地域生活に向けた支援の充実
  2. 小規模化による質の高い支援の提供を推進
  3. 支援ニーズの高い児への支援を充実
  4. 家族支援の充実

地域生活の支援として、15歳以上に達した入所児童に移行支援計画を作成し、移行支援を進めることが求められています。

また、小規模グループケア加算の評価の見直しが行われ、より家庭的な環境での支援の実施が期待されています。

障がい児相談支援の適切な実施・質の向上や提供体制の整備

主任相談支援専門員が地域の相談支援事業の従事者に対する助言指導を担っている事業所は、主任相談支援専門員配置加算の評価対象になります。

また、地域生活支援拠点と連携し、協議会の構成員となっている相談支援事業所は、地域体制強化共同支援加算の対象に含まれることとなりました。

地域が一体となって障がい児支援に当たる提供体制の整備が、今後見直される予定です。

【令和6年度】放課後等デイサービスの報酬改定について【まとめ】

放課後等デイサービスなどの障がい福祉事業での人材不足解消に向けて、令和6年度に処遇改善や専門性の高い支援を行った場合の報酬改定が行われる予定です。

その中でも、「障がい児に対する専門的で質の高い支援体制の構築」の7項目が、重要な変更点になります。

今後ますます障がい福祉事業の需要が高まることが予想されているため、個々のニーズに合わせた手厚い支援を行っていく必要があるでしょう。

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