中学生・高校生向けの放課後等デイサービスとは？利用条件や支援内容を解説

放課後等デイサービスは、障がい児が放課後や長期休暇中に利用できる福祉サービスです。

利用者は小学生が多数を占めていますが、近年中高生向けの支援プログラムのニーズが高まっています。

しかし、一般的な放課後等デイサービスと中高生向けの施設では、どのような違いがあるのかわからない方もいるでしょう。

この記事では、中高生向けの放課後等デイサービスの概要や利用条件を解説します。

この記事を読むことで、将来の自立に向けた適切な準備ができるでしょう。

中学生・高校生向けの放課後等デイサービスとは？

放課後等デイサービスは、障がいのある6歳から18歳の就学児童を対象とした福祉サービスです。

ここでは、中高生向けの放課後等デイサービスの必要性や利用条件などを解説します。

参考：厚生労働省『放課後等デイサービスの現状と課題について』

中学生・高校生向けの放課後等デイサービスの必要性

放課後等デイサービスは、低学年の預かりニーズが多いことから利用者のほとんどが小学生です。

しかし近年では、将来の自立に向けて必要なスキルを身につけるために、中高生向けの放課後等デイサービスの必要性が高まっています。

中高生向けのプログラムは、就労に必要なスキルやビジネスマナー・ソーシャルスキルトレーニングなど、より専門的な内容が含まれています。

障がいのある子どもたちが社会に適応し自立するために、中高生向けの放課後等デイサービスは今後、重要な役割を担うでしょう。

放課後等デイサービスの利用条件

放課後等デイサービスは、障がいにより医師から支援の必要性が認められた6歳から18歳までの就学児童を対象としています。

障がい者手帳の取得は必須ではなく、医師の意見書などがあれば利用可能です。

基本的には健常児の利用はできませんが、軽度の障がいがある場合は利用できるケースもあるでしょう。

放課後等デイサービスの利用方法

放課後等デイサービスを利用するには、まずお住まいの地域の障がい福祉課に問い合わせ、受給者証の発行を申請します。

受給者証の発行には、医師の診断書などの書類が必要です。

受給者証が発行されたら利用したい施設を選び、施設と契約後、個別支援計画に基づいて支援が始まります。

一般的な放課後等デイサービスとの違い

一般的な放課後等デイサービスは、日常生活や社会生活に必要なマナーやスキルの訓練が中心です。

遊びや学習を通じて、社会性を育むことを目的としています。

一方、中高生向けの放課後等デイサービスでは、将来の就職に向けた準備や社会適応能力の向上が重視されています。

障がいがありながらも社会で自立して生活していくために、より専門的な支援が受けられるでしょう。

中学生・高校生向けの放課後等デイサービスの支援プログラム

中高生向けの放課後等デイサービスでは、一人ひとりの特性や発達段階に合わせたさまざまな支援プログラムを提供しています。

ここでは、「自立支援」と「就労支援」の内容を詳しく見ていきましょう。

自立支援

自立支援は、日常生活に必要なスキルを習得するために、以下のように訓練します。

• 生活スキルの習得：公共交通機関の利用方法や、商業施設での買い物を通じてお金の管理を学ぶ訓練をする。
• 料理や家事の体験：自分で調理する体験を通じて、基本的な生活スキルを身につける。
• ソーシャルスキルの向上：社会的な場面での適応力を養うために、他者とのコミュニケーション能力を高めるプログラムの実施。

自分の特性や苦手な部分を把握し、適切なプログラムを提供している施設でスキルの習得を目指しましょう。

就労支援

就労支援は、将来の就職に向けた具体的なスキルを身につけるために、以下のように訓練します。

• ビジネスマナーの習得：職場で求められる基本的なマナーや礼儀を学ぶためのロールプレイングや実践的な訓練をする。
• 実務体験：軽作業の練習や実際の企業見学を通じて、働くことへの理解を深める。
• PCスキルの習得：現代の職場で必要とされるパソコンスキル（タイピングや基本的なソフトウェアの使用方法など）を学ぶ。

これらを習得することで、就職する際の選択肢を広げられるでしょう。

中学生・高校生向けの放課後等デイサービスの選び方

中高生向けの放課後等デイサービスを利用する場合、一人ひとりの特性に応じた最適な環境を選ぶ必要があります。

ここでは、中高生向けの放課後等デイサービスを選ぶポイントを解説します。

プログラムの内容を比較する

放課後等デイサービスごとに特色あるプログラムを提供しているため、本人の特性や将来の目標に合わせた支援を受けられるかどうかを確認しましょう。

特に、自立支援や就労支援の内容を比較検討することがポイントです。

また、各利用者のニーズに応じた個別支援計画が作成されているか、専門家による指導があるかどうかも確認しておくと良いでしょう。

施設の雰囲気をチェックする

実際に施設を見学して、その雰囲気を直接感じることが非常に大切です。

スタッフが生徒一人ひとりに丁寧に接しているか、他の利用者が楽しそうに活動しているかなどに注目して見学すると良いでしょう。

また、安心して利用するために施設内の環境設定も確認する必要があります。

施設が清潔に保たれているか、活動スペースが適切に確保されているかも、見学時にチェックしておきましょう。

施設の場所や送迎の有無を確認する

施設を選ぶ際は、立地条件や送迎サービスの有無も選択する基準となります。

通いやすさは施設利用の継続性に影響するため、自宅からの距離や所要時間、公共交通機関でのアクセス方法を確認しておきましょう。

また、学校への迎えと自宅への送りがあるか、追加料金が発生するかなども事前に確認しておくと良いでしょう。

よくある質問

放課後等デイサービスを利用している方が18歳を迎えた時、サービスを継続できるのかどうか疑問に思っている方もいるでしょう。

ここでは、放課後等デイサービスに関するよくある質問について解説します。

高校卒業後デイサービスは利用できる？

放課後等デイサービスは、原則として18歳までの障がい児を対象としており、高校卒業後は放課後等デイサービスに代わる別の支援サービスに移行します。

しかし、高校卒業後も引き続き放課後等デイサービスでの支援を受ける必要性が認められた場合、特例として19歳（20歳未満）まで利用できる可能性があります。

具体的な条件は施設や自治体によって異なりますが、学校に在籍していることが条件になる場合が多いようです。

放課後等デイサービスと療育の違いは？

放課後等デイサービスと療育は、どちらも障がいのある子どもを支援するためのサービスですが、目的や対象年齢・提供される内容に違いがあります。

それぞれの違いは、以下のとおりです。

• 放課後等デイサービス：主に6歳から18歳までの就学児童が対象。放課後や長期休暇中の居場所提供と日常生活スキルの向上に重点を置いている。
• 療育：主に0歳から6歳までの未就学児が対象。発達支援に特化し、個々の特性に応じて支援する。

放課後等デイサービスは、集団活動や余暇活動を通じた支援をするのに対し、療育は個別的なアプローチが中心となります。

利用する際は、子どもの年齢やニーズに応じた適切なサービスを選択しましょう。

【まとめ】放課後等デイサービスでは中学生・高校生向けのプログラムがある

放課後等デイサービスは、小学生だけでなく中高生向けのサービスの需要が高まっています。

中高生向けの放課後等デイサービスでは、自立支援や就労支援に関するプログラムがあり、将来の自立に向けての具体的なスキルの習得を目指します。

施設を選ぶ際は、提供しているサービス内容や施設の立地などを事前に確認しましょう。

また、施設の雰囲気を確かめるためにも、実際に見学や体験に行くことをおすすめします。

障がいがあっても将来社会で自立できるように、本人の特性や将来の目標に合った支援が受けられる施設を選びましょう。