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放課後等デイサービスQ&A
2025.02.01

放課後等デイサービスの個別支援計画とは?記入例や作成時の留意点を解説

放課後等デイサービスの個別支援計画とは?記入例や作成時の留意点を解説

放課後等デイサービスにおける個別支援計画は、事業所で利用者にどのような支援を提供するのかを記載した計画書です。

計画の作成には、アセスメントの実施から支援内容の設定まで、さまざまなステップが必要となります。

しかし、個別支援計画に含むべき5領域の内容や、正しい作成手順がわからない方もいるでしょう。

この記事では、個別支援計画の基本的な考え方や作成時の留意点、具体的な記入例まで詳しく解説します。

この記事を読むことで、法令に遵守した正しい個別支援計画を作成できるでしょう。

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個別支援計画とは?

個別支援計画は、放課後等デイサービスを利用する子ども一人ひとりの特性や発達段階に応じて作成される支援内容を記した計画書です。

この計画を作成すると、子どもの現状に合った必要な支援内容が明確になり、効果的なサービス提供が実現します。

支援者全員が同じ方針で支援できるよう、具体的な目標や支援方法を記載することが重要です。

個別支援計画に含める5領域とは

放課後等デイサービスでは、より質の高いサービス提供を推進するため、5領域全てを含む支援を明確にした計画の作成が求められています。

ここでは、個別支援計画に含める5領域について詳しく解説します。

健康・生活

健康・生活の領域では、子どもの基本的な生活習慣や健康状態に関する内容を設定します。

記載する内容は、主に食事、排せつ、睡眠などの基本的な生活習慣の確立や、服薬管理、体調管理などです。

アレルギーの有無や持病がある場合は、その対応についても具体的に記載する必要があります。

支援をする際は、家庭での様子も考慮しながら、施設での活動がスムーズに送れるような配慮が必要です。

運動・感覚

運動・感覚の領域では、粗大運動や微細運動の発達状況、感覚過敏や感覚鈍麻の有無などを評価します。

支援内容には、室内での活動や外遊びを通じて、バランス感覚や協調運動能力の向上を図るなど、発達に合わせた内容を記載しましょう。

また、感覚統合の課題がある場合は、個々の特性に応じた環境設定や活動内容を計画に盛り込みます。

認知・行動

認知・行動の領域では、注意力や集中力、問題解決能力などの認知機能に関する評価を行い、個々の特性に合わせた学習支援や行動支援を計画します。

こだわりや常同行動がある場合は、その特徴を理解した上で適切な対応方法を具体的に記載しましょう。

言語・コミュニケーション

言語・コミュニケーションの領域では、言語理解や表現力、非言語コミュニケーションの状況を評価します。

言葉の遅れがある場合は、代替コミュニケーション手段の活用も含めた支援計画を立案しましょう。

また、集団活動における他者とのコミュニケーションの取り方についても、個々の能力を十分に把握した上で必要な支援を設定します。

人間関係・社会性

人間関係・社会性の領域では、集団活動への参加状況や他者との関わり方について評価します。

友達との遊び方や集団活動でのルール理解、感情コントロールなどの課題に対して、具体的な支援方法の設定が必要です。

また、さまざまな場面での適切な振る舞い方や、他者との関係作りのスキルを身につけられるような内容を計画に含めます。

個別支援計画作成時の留意点と記入例

個別支援計画を作成する際は、利用者や家族の意向を十分に反映させながら、具体的で実現可能な支援内容を設定することが重要です。

ここでは、計画作成時の留意点と記入例について解説します。

利用者および家族の生活に対する意向

利用者および家族の意向を丁寧に聴き取り、計画に反映させることは非常に重要です。

面談やアンケートを通じて、日常生活での困りごとや将来への希望、サービスに対する期待などを把握します。

特に、家族の負担軽減や子どもの成長に関する願いについては、できるだけ詳しく聞き取り、計画に反映させる必要があります。

記入例は、以下のとおりです。

  • 友達と楽しく過ごしたい。(本人)
  • 感情をコントロールしながら他者と上手に関わっていってほしい(保護者)

個別支援計画作成後も、定期的な面談を通じて、意向の変化にも柔軟に対応できる体制を整えていきましょう。

総合的な支援の方針

アセスメントの結果と利用者・家族の意向を踏まえて、総合的な支援の方針を設定します。

支援方針には、以下の要素を含めることが重要です。

  • 子どもの現状と課題の明確な把握
  • 発達段階に応じた適切な支援内容の設定
  • 家庭との連携方法の具体化
  • 支援目標達成のための段階的なステップ

記入例は、以下のとおりです。

  • 〇〇さんは、言葉での指示よりも視覚的な情報処理が得意であると見立てています。そのため、説明した内容を理解しないまま視覚で得た情報をもとに行動してしまい、パニックになることがあるようです。視覚的な情報処理が優位という特性を活かし、活動の流れやスケジュールを視覚化することで、活動の見通しを立てられるように支援します。また、感情を表現できるよう、感情カードや絵カードを活用しながら自己表現を促し、小グループ活動を通じて段階的に他者との関わりを増やしていきます。家庭での困りごとや相談支援を随時実施し、家庭と連携しながらスモールステップで成功体験を積み重ねていけるよう支援します。

総合的な支援の方針の項目では、子どもの強みを活かしながら、課題に対するアプローチ方法を明確にした目標を設定しましょう。

長期目標・短期目標

長期目標は6カ月から1年程度の期間で設定し、短期目標は3カ月程度の期間で設定します。

目標設定の際は、具体的で達成可能な内容とすることが重要です。

また、評価可能な形で記載し、定期的なモニタリングを通じて進捗を確認できるようにします。

長期目標と短期目標の記入例は、以下のとおりです。

  • 長期目標:言葉による自己表現の幅を広げ、小グループ活動に参加できるようになる。
  • 短期目標:視覚的情報から活動の流れを理解し、見通しを持って行動できるようになる。感情カードなどを使用し、相手に気持ちを伝えられるようになる。

目標は、子どもの発達状況や生活環境の変化に応じて適宜見直しをしていきましょう。

支援目標および具体的な支援内容等

支援目標と具体的な支援内容には「本人支援」「家族支援」「移行支援」「地域支援・地域連携」の項目ごとに、できるだけ詳細に記載します。

支援内容には、以下の要素を含めることが重要です。

  • 本人支援:アセスメントやモニタリングに基づき、子どもが将来、日常生活や社会生活を円滑に営めるようにする観点から、本人への発達支援について5領域との関連性を含めて記載する。
  • 家族支援:子どもの成長や発達の基盤となる親子関係や家庭生活の安定・充実を目的として、家族支援について記載する。
  • 移行支援:インクルージョンを推進する観点から、保育所などの併行利用や移行に向けた支援・仲間作りなどについて記載する。
  • 地域支援・地域連携:子どもと家族を中心に包括的な支援を提供する観点から、生活や成長の支援に関わる保健・医療・福祉・教育・労働などの関係機関や、障がい福祉サービス事業所などと連携する取り組みについて記載する。

支援目標と具体的な支援内容の記入例は、以下のとおりです。

  • 本人支援(支援目標):生活習慣の確立と基本的な社会性の習得を通じて、集団活動への適応力を高める。
  • 本人支援(支援内容):視覚的スケジュールを用いて、活動の流れを理解できるよう支援する。小グループでの活動を通じて、順番待ちや譲り合いの経験を重ねる。
  • 家族支援(支援目標):家庭での困りごとに対する具体的な対処方法を身につける。
  • 家族支援(支援内容):パニック時の具体的な対応方法や成功事例を共有し、実践していただく。
  • 移行支援(支援目標):就学後の学校生活をスムーズに送れるよう、必要なスキルと環境を整える。
  • 移行支援(支援内容):環境の変化へ段階的に慣れていくために、就学先と情報共有をし、体験入学などへの同行支援を行う。
  • 地域支援・地域連携(支援目標):地域資源を活用しながら、包括的な支援体制を構築する。
  • 地域支援・地域連携(支援内容):定期的なケース会議を実施し、情報の共有や役割分担について協議する。

支援者が実践可能な具体的な方法や、評価基準を明確にすることで、効果的な支援の実施につながります。

個別支援計画を作成する流れ

個別支援計画は、より効果的な支援計画を作成するために、複数のステップを経て進めていきます。

ここでは、個別支援計画作成の流れを各ステップに分けて解説します。

アセスメントの実施

アセスメントでは、子どもの発達状況や生活環境、家族の状況などを総合的に評価します。

利用する子どもや保護者との面接、各種検査などにより、以下の項目について情報収集を行いましょう。

  • 基本的な生活習慣の状況
  • 発達段階の評価
  • 行動特性の把握
  • 家庭環境の評価
  • 医療情報の確認

また、子どもや保護者がどのようなサービスを望んでいるのかを知ることで、利用者のニーズに合った支援計画を立案できるでしょう。

個別支援計画原案の作成

収集した情報を基に、サービス管理責任者が中心となって個別支援計画の原案を作成します。

原案を作成する際は、アセスメント結果を適切に反映し、具体的で実現可能な目標を設定しましょう。

また、支援方法や活動内容を明確化し、評価基準を設定することも重要です。

作成した原案は、担当者会議での検討材料として使用します。

担当者会議の実施

担当者会議は、個別支援計画の原案について多職種で検討を行う重要な場です。

会議には、サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者・支援員、必要に応じて関係機関の担当者が参加し、支援目標や支援方法の具体性、職員間の役割分担などを協議します。

会議での決定事項は記録に残し、全職員で共有することが重要です。

支援における課題や対応方法についても検討することで、より効果的な支援計画の策定ができるでしょう。

個別支援計画の作成・同意を得る

担当者会議での検討結果を踏まえ、サービス管理責任者が最終的な個別支援計画を作成します。

作成した計画は、利用者・家族に対して丁寧に説明を行い、必ず書面での同意を得る必要があります。

説明する際は、専門用語を避け、わかりやすい言葉を使用しましょう。

また、支援目標や具体的な支援内容について質問があれば詳しく回答し、必要に応じて修正も行います。

同意を得た計画書は、原本を事業所で保管し、複写を利用者・家族に渡します。

モニタリングの実施

モニタリングは、支援計画に基づくサービス提供の効果を確認し、必要に応じて計画を見直すための重要な過程です。

定期的(通常6カ月に1回以上)に実施し、支援目標の達成状況や支援内容の適切性を評価します。これにより、利用者の状況変化や新たなニーズも把握できるでしょう。

また、モニタリングの結果は記録に残し、必要に応じて担当者会議を開催して支援計画の変更を検討します。

結果は利用者・家族とも共有し、今後の支援方針について合意形成を図ることが重要です。

個別支援計画の減算対象になりうる事例

適切な個別支援計画の作成と運用は、正しい事業所運営とサービスの質を保証する上で非常に重要です。

ここでは、減算対象となりやすい事例とその対応について解説します。

参考:厚生労働省『各種加算減算の算定状況等の実態調査(人員欠如減算・個別支援計画未作成減算に関する調査)

個別支援計画の未作成

個別支援計画の未作成は、障がい児通所支援の基準に違反する重大な問題です。

サービス開始前には必ず計画を作成し、利用者・家族の同意を得なければなりません。

未作成のまま支援を提供した場合、報酬が減算されるだけでなく、個々の利用者に適した支援が提供できない恐れもあります。

また、計画作成が遅れる場合は、暫定的な計画を立てて対応し、できるだけ早期に正式な計画の作成が求められます。

事業所は、計画作成状況を定期的にチェックする体制を整えましょう。

原案をサービス管理責任者が作成していない

個別支援計画の原案作成は、サービス管理責任者の重要な職務であり、他の職員に委ねることはできません。

サービス管理責任者以外の職員が作成した場合、減算対象となるだけでなく、専門的な視点からの適切なアセスメントや支援計画の立案ができない可能性があります。

そのため、アセスメントの実施から原案作成まで、一貫してサービス管理責任者が担当する必要があります。

他の職員は情報提供や助言をすることはできますが、最終的な原案作成の責任はサービス管理責任者にあることを認識しましょう。

アセスメントやモニタリングの未実施

アセスメントは、利用者の状況や課題を正確に把握するための基本となり、モニタリングは支援の効果を評価し計画を見直すために不可欠です。

定期的なアセスメントとモニタリングの実施時期を管理カレンダーなどで確実に把握し、計画的に実施する体制を整えることが重要です。

個別支援計画に対する利用者・家族の同意を得ていない

個別支援計画に対する利用者・家族の同意は、支援を開始する上で必須の要件です。

同意を得ていない場合は、適切なサービス提供とは認められず、報酬の減算対象となります。

また、同意は必ず書面で得ることが求められ、説明した日付や説明者名、同意を得た日付なども記録に残さなければなりません。

同意書は適切に保管し、監査時にも提示できるようにしておきましょう。

【まとめ】放課後等デイサービスの個別支援計画の記入例

放課後等デイサービスにおける個別支援計画は、利用者一人ひとりの特性や課題に応じて丁寧に作成することが重要です。

計画作成にあたっては、アセスメントの実施から具体的な支援内容の設定まで、各ステップを確実に実施することが求められます。

また、定期的なモニタリングを通じて支援内容を見直し、より効果的な支援につなげていくことが大切です。

事業所は、減算の対象とならないよう、必要な手続きや記録の管理を適切に行いましょう。

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