多機能型事業所とは?メリット・デメリットと指定を受けるための条件や特例を解説
障がい福祉サービスには、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの事業形態があります。
これから障がい福祉サービス事業への参入を考えている方の中には、どの事業を行うべきか悩んでいる方もいるでしょう。
この記事では、多機能型事業所のメリット・デメリットと、事業所として指定を受けるための条件について解説します。
この記事を読むことで、多機能型事業所の概要と運営に必要な情報を得ることができるでしょう。
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もくじ
多機能型事業所とは?
多機能型事業所とは、1つの事業所が、障がい福祉サービス事業と障がい児通所支援のサービスのうち、2つ以上のサービスを提供している事業所のことをいいます。
障がい福祉サービス事業と障がい児通所支援の詳しい種類は、以下のとおりです。
- 障がい福祉サービス事業
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援B型
- 生活介護
- 自立訓練(生活訓練・機能訓練)
- 障がい児通所支援
- 放課後等デイサービス
- 児童発達支援
- 医療型児童発達支援
- 保育所等訪問支援
すでに単独型として開業していても、途中から多機能型事業所に変更が可能です。地域のニーズと市場の動向を把握することで、収益の増加が見込めるでしょう。
多機能型事業所の指定を受けるための条件
多機能型事業所の指定を受けるには、決められた条件を全てクリアする必要があります。開業を考えている方は、これらの条件を満たせるかどうかを準備段階で協議することが大切です。
- 利用申込みの調整、職員の技術指導が一体的に行われている
- 職員の勤務体制、勤務内容が一元的に管理されており、必要な場合には事業所間で支援し合える体制が整っている
- 苦情処理や損害賠償に対して、一体的な対応ができる体制ができている
- 事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料を定める同一の運営規程が定められている
- 人事・給与・福利厚生などの勤務条件による職員管理が一元的に行われている、事業所間の会計が一元的に管理されている
- 2つの事業所の距離がおおむね30分以内で移動できる距離にあり、サービス管理責任者の業務の遂行上支障がないこと
参考:厚生労働省『「障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」の一部改正について(第二総論1事業者指定の単位について(1)従たる事業所の取扱いについて)』
多機能型事業所に適用される特例
多機能型事業所の指定を受けた場合、いくつかの特定の対象となります。適用される3つの特例項目を解説します。
参考:厚生労働省『「障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」の一部改正について(第十六多機能型に関する特例)』
利用定員に関する特例
多機能型事業所の利用定員が20人以上の場合、同一事業所で行うサービスの最低利用定員が以下のように変更になります。
- 放課後等デイサービス・児童発達支援・医療型児童発達支援:5人以上
- 生活介護・就労移行支援・機能訓練・生活訓練:6人以上
- 就労継続支援A型・就労継続支援B型:10人以上
従業員数に関する特例
多機能型事業所は、特例により事業所間や職種間での兼務が可能です。
- 児童発達支援管理責任者・サービス管理責任者:兼務可能
- 常勤の従業員
- 利用定員が19人以下の場合はサービス管理責任者との兼務可能
- 児童福祉法に基づくサービスを2つ以上行う場合は事業所間の兼務可能
設備に関する特例
障がい福祉サービスごとに必要とされている相談室、洗面所、トイレ、多目的室などの設備は、サービスに支障がない場合に限り兼用が可能です。
しかし、利用人数と比較して明らかに利便性が悪い場合は、サービスごとに設備を分けましょう。
訓練・作業室は兼用できないため、それぞれに設置する必要があります。
多機能型事業所を運営するメリット
2つのサービスを同一の事業所で行うことで、年齢に応じた継続的な支援ができるなどの利点があります。
多機能型事業所の運営には、どのようなメリットがあるのかを詳しく解説します。
一貫性のある支援を提供できる
同一施設で2つの事業を行うことで、年齢や利用者の状態に合わせた一貫性のある支援の提供が可能です。
例えば、児童発達支援は0歳から6歳までを対象とした施設なので、就学後は6歳から18歳を対象とした別の放課後等デイサービスの事業所に変更しなければなりません。
しかし、児童発達支援と放課後等デイサービスを多機能型事業所として運営している場合、環境を変えることなく継続した支援の提供が可能になります。
通い慣れた場所での継続したサービス提供は、子どもや保護者にとっても安心感につながるでしょう。
特例の対象になる
特例が適応されるため、サービス管理責任者の兼務ができたり、2つのサービス間で兼用できる設備があったりと、人件費や設備にかかる費用を削減できます。
しかし、「児童福祉法に基づく2つの事業」「障がい者総合支援法に基づく2つの事業」「児童福祉法と障がい者総合支援法の2つの事業」など、組み合わせるサービスによって特例の内容が変わるため、確認の上準備を進める必要があるでしょう。
長期利用により経営が安定する
児童発達支援と放課後等デイサービス、就労継続支援A型と支援継続支援B型など、組み合わせ次第では長期利用に繋がることがあります。
長期利用者が増えれば安定した収益が得られ、経営が上向く可能性があるでしょう。
開所時間減算が適用されにくくなる
開所時間減算とは、営業時間が6時間未満になると基本報酬から15%〜30%減額されてしまう制度です。
多機能型事業所では、2つのサービスの時間を合わせて6時間未満にならなければ開所時間減算の適用にはならないため、減算の要因を減らすことができます。
利用者の状況に合わせてスムーズにサービスの移行ができる
子どもの年齢や利用者の状態により、利用するサービスに変化が生じるでしょう。
多機能型事業所なら、ライフステージに合わせて施設を変更することなくサービスの移行が可能です。
通い慣れた場所でのサービス移行は、利用者にとってもストレスがなく安心して利用を継続できるでしょう。
多機能型事業所を運営するデメリット
多くのメリットがある一方で、気をつけなければならないポイントもあります。
多機能型事業所のデメリットについて見ていきましょう。
単独型よりも安全面の配慮が必要
年齢や特性が異なる方が利用するため、単独型よりも安全面への配慮が必要になります。
特に、児童発達支援と放課後等デイサービスの多機能型事業所は、小さい子どもから就学期の児童が通っているため、怪我やトラブルが多くなる可能性があるでしょう。
安全面を考慮した人員配置の検討・対策の徹底が、より重要になります。
スタッフへの負担が大きくなる
サービス間で兼務できる職種があるため、スタッフ1人ひとりの負担が大きくなってしまうことが懸念されます。
事業所は、施設の規模や利用者の人数を見極め、適切な人員配置の検討が必要でしょう。
単独型事業所よりも単価が下がる可能性がある
多機能型事業所は、事業所で行うすべてのサービス総利用定員数により報酬を算定します。
多機能型では、2つのサービス間で兼務が可能な職種があるため、人件費を削減できる可能性があり、単独型より報酬単価が下がる仕組みとなっています。
報酬単価は事業所運営に大きく影響するため、事前に試算をしておくとよいでしょう。
多機能型事業所を運営するメリット・デメリット【まとめ】
多機能型事業所は、1つの事業所が障がい福祉サービス事業と障がい児通所支援のサービスのうち、2つ以上のサービスを提供している事業所のことをいいます。
指定を受けるためには、いくつかの条件をクリアする必要があり、指定を受けた事業所には特例が適応されます。
サービス間で統一された支援の実施や経営の安定化を図れる利点がありますが、安全面への配慮やスタッフへの負担の増大など、不安な点があることも事実です。
これから開業を考えている方は、これらの内容を踏まえた上で、どのようなサービスを提供していくかを検討していきましょう。
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