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療育Q&A
2024.09.10

発達障がいのグレーゾーンは障がい者手帳をもらえない?特徴や主な支援先を解説

発達障がいのグレーゾーンは障がい者手帳をもらえない?特徴や主な支援先を解説

障がい者手帳は、何らかの障がいにより日常生活に支援が必要な方に対し、自治体から交付される手帳です。

しかし、発達障がいではなくグレーゾーンと診断された場合、障がい者手帳をもらえるのかどうか疑問に思っている方もいるでしょう。

この記事では、グレーゾーンの定義や障がい者手帳の取得条件を解説します。

この記事を読むことで、グレーゾーンでも適切なサポートを受けられる支援機関がわかるでしょう。

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発達障がいのグレーゾーンとは

発達障がいのような症状があり病院を受診しても、グレーゾーンだと伝えられることがあります。

グレーゾーンとは、具体的にどのような状態のことをいうのでしょうか?

ここでは、発達障がいの診断基準について解説します。

「グレーゾーン」とは発達障がいの傾向がある場合を指す

グレーゾーンとは、発達障がいの傾向はあるものの全ての診断基準を満たしていないため、確定診断ができない状態を指します。

精神疾患の世界共通の診断基準として「DSM-5(精神疾患診断・統計マニュアル第5版)」が用いられますが、この診断基準の全てに該当しなかった場合、グレーゾーンとみなされる可能性があります。

グレーゾーンでも、発達障がいの診断を受けた子どもと同じような特性があるため、日常生活での困りごとが多くなるでしょう。

発達障がいの確定診断がつかないのはなぜ?

発達障がいの傾向はあるものの確定診断がつかないのは、日常生活における困りごとがはっきりとしていない、幼少期の情報が少ないといった状態が挙げられます。

また、障がいの傾向や特性があっても、学習や生活面において特に大きな問題はなく生活できていれば、グレーゾーンと診断される可能性があるでしょう。

グレーゾーンの子どもへの対応

グレーゾーンでも、特性により日常生活に支障が出る場合は、適切な対策や対応をしていく必要があります。

確定診断がついていないから対処する必要がないとそのままにしていると、社会に適応するのが難しくなり、うつ病などの二次障がいを引き起こしかねません。

家庭での様子や保育園・学校での様子を把握し、どのような場面で困りごとが多くなるのかを見極めて、一人ひとりに合った対策を検討していきましょう。

子どもの発達障がいのグレーゾーンチェック方法

もしかしてうちの子は発達障がいなのかも?と思っても、病院で診断してもらうべきかどうか悩んでいる親御さんもいるのではないでしょうか?

ここでは、主な発達障がいのチェック方法を紹介します。

ADHD(注意欠如・多動症)

ADHD(注意欠陥・多動症)は、不注意や多動・衝動性などの特性がある発達障がいです。

ADHDの診断基準は、精神疾患の世界共通の診断基準として用いられている「DSM-5(精神疾患診断・統計マニュアル第5版)」に記されており、下記の条件を全て満たす場合にADHDと診断される可能性があります。

  1. 「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序立てて活動に取り組めないなど)」と「多動・衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人の邪魔をしてしまうなど)」が同年代の発達水準より強く認められる
  2. 1のような症状のいくつかが12歳以前より認められる
  3. 家庭や職場などの2つ以上の状況において支障が出ている
  4. 発達により対人関係や学業的・職業的な機能が障がいされている
  5. 症状が統合失調症や他の精神病性障がいの経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されないこと

上記のような傾向がみられる場合、ADHDの特性があるかもしれません。

また、幼少期の発育状況や普段の様子も、診断する上で重要な情報となるでしょう。

参考:厚生労働省『ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療

ASD(自閉スペクトラム症)

ASD(自閉スペクトラム症)は、言葉の遅れやコミュニケーション・対人関係の障がいなどの特性がある発達障がいです。

下記などの症状を満たす場合、ASDと診断される可能性があります。

  1. 複数の状況で社会的コミュニケーションや対人的相互反応の持続的欠陥がある
  2. 行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上ある(情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚刺激に対する過敏さや鈍感さなど)
  3. 発達早期から1,2の症状が存在している
  4. 発達により対人関係や学業的・職業的な機能が障がいされている
  5. これらの障がいが、知的障がいや全般性発達遅延ではうまく説明できない

ADHDやASDの症状に当てはまる項目があったとしても、最終的には医師による総合的な判断になるため、グレーゾーンと診断される可能性もあるでしょう。

参考:厚生労働省『ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について

グレーゾーンの方は障がい者手帳をもらえない?

発達障がいと診断された場合、障がい者手帳が交付されますが、グレーゾーンの診断を受けた場合はどうなのでしょうか?

ここでは、障がい者手帳の取得条件や、グレーゾーンの子どもが利用できる支援機関について解説します。

確定診断を受けないと障がい者手帳をもらえない

障がい者手帳は、発達障がいの確定診断を受けなければ取得できません。

しかし、グレーゾーンでも知的障がいなど別の障がいを併発しており、一定の障がいがあると認められた場合は、障がい者手帳の交付条件に当てはまります。

また、特性によりうつ病などの二次障がいが発症している場合も、手帳を取得できる可能性があるでしょう。

グレーゾーンの子どもが利用可能な支援機関

障がい者手帳を取得できなくても、発達の特性がある子どもでも利用できる支援機関があります。

ここでは、グレーゾーンと診断された場合の主な支援先について解説します。

市町村の保健センター

各市町村の保健センターでは、発育や発達障がいに関する相談に応じています。

子育て支援や乳幼児検診なども行っているため、子どもの発達相談も専門の知識を持った職員が対応してくれます。

困りごとの内容によって専門機関や医療機関の紹介なども行っているため、少しでも発達で気になる点がある方は相談を検討してみるのもよいでしょう。

子ども家庭支援センター

子ども家庭支援センターは、18歳未満の子どもと家庭のさまざまな問題に対応している相談窓口です。

ショートステイや一時預かりなどの在宅サービスの提供、家庭への支援、子育てサークルや地域の子育てに関する情報も提供しています。

児童相談所

児童福祉法に基づいて設置される行政機関で、18歳未満の子どもに関する相談を受け付けています。

育児や家庭環境の悩み、心や身体に関する悩み、学校や家庭での困りごとなど、さまざまな相談に対して専門的な視点から助言・援助をし、解決に向けて支援を行います。

発達障がい者支援センター

障がいのある本人やその家族が安心して生活できるよう、総合的に支援する機関です。

障がいがあっても豊かな生活が送れるよう、保健、医療、福祉、教育、労働などの関係機関と連携をし、地域でのネットワークを構築します。

しかし、地域によって事業内容が異なるため、詳しくはお近くの発達障がい支援センターにお問い合わせください。

児童発達支援事業所

児童相談所、保健センター、医師などにより療育の必要性が認められた0歳〜小学校入学前までの児童が通う施設です。

この施設は、自治体から「通所受給者証」の交付を受けなければ利用できません。

しかし、障がい者手帳の有無は問われないため、発達の特性のある子どもでも利用が可能です。

支援内容は施設ごとに内容が異なるため、子どもに合った療育が受けられる施設選びが重要となるでしょう。

放課後等デイサービス

障がいや特性のある6歳〜18歳までの子どもが、学校終了後や長期休暇などに利用できる通所支援サービスです。

こちらも児童発達支援事業所と同様に、通所受給者証が必要です。

利用者一人ひとりの障がいや特性に応じた個別支援計画を作成し、自立支援や日常生活の充実を図るためのさまざまなプログラムを実施します。

関連記事:『放課後等デイサービスはグレーゾーンでも利用できる?特徴や関わり方・発達支援サービスを解説

【まとめ】発達障がいのグレーゾーンは障がい者手帳をもらえない

グレーゾーンとは、発達障がいの傾向はあるものの、全ての診断基準を満たしておらず確定診断ができない状態をいいます。

発達障がいの確定診断を受ければ障がい者手帳が交付されますが、グレーゾーンの場合、手帳は交付されません。

しかし、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスなど、グレーゾーンでも利用できる施設もあります。

特性により日常生活の困りごとが増えてきたと感じている場合は、地域の相談窓口や支援機関を利用し、適切なサポートを受けましょう。

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