時計が読めないのは発達障害?原因と対応を解説
時計が読めない、時間の感覚が曖昧というお子さんに対して、時計の読み方を教える難しさを感じている親御さんもいるでしょう。単に読み方がわからないという子供もいれば、発達障害により時計が読めない可能性もあります。
この記事では、時計が読めない子どもの原因と対応策を解説します。
この記事を読むことで、時計が読めない子どもへの適切な支援方法を知ることができるでしょう。
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時計が読めないのは発達障害が原因?
小学生の低学年頃になると、時計の学習である程度時間の感覚がわかってくるものです。しかし、一定の年齢になっても時計が読めない場合は、発達障害の可能性が考えられます。
ここでは、時計が読めない子どもの原因について解説します。
「時計を読む」という分野の学習障害の可能性
学習障害とは、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」といった学習に必要な能力に障害があることをいいます。これらの能力のうち1つ、または複数の能力がなかなか習得できず、学習する中でさまざまな困難に直面してしまいます。
学習障害も、発達障害の症状の1つです。時計を読むことが苦手な子は、算数の教科でつまずいてしまう可能性があるでしょう。発達障害のあるお子さんや発達に特性のあるお子さんは、放課後等デイサービスなどの療育施設で支援を受けることができます。
参考:厚生労働省『発達障害の理解のために』
感覚過敏により時計が読めない
感覚過敏とは、「視覚」「触覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」の五感が過剰に敏感な症状を指します。感覚過敏の子どもは、時計の時刻がわからないのではなく、秒針の音や時計の見た目などが気になってしまい、時計が読めない可能性があります。
装飾がなくシンプルな時計や、秒針の音がしないタイプの時計を選ぶなど、工夫をする必要があるでしょう。
どれくらいわかる?時計の理解度チェック
時計を読むことが苦手な場合、どの程度時計の読み方を理解しているのかを確認することが大切です。ここでは、時計の理解度チェックの方法について解説します。
60まで数を数えられる
1時間は60分なので、まずは、1から60までの数を数えられるかをチェックします。
60までの数を数えられない場合は、おはじきを1個ずつ置きながら60まで数えるなど、物を使って数の感覚を身につけるのも良いでしょう。また、5や10のかたまりで理解できるように支援していくことも大切です。
時刻を読める
時刻とは、朝起きる時刻の「7時」家を出る時刻の「8時」など、時の流れの中の1点を指しています。時刻が読めるかどうかは、時計を読む上で最初に重要なポイントです。
正確に時刻を読めているかチェックすることで、どの程度時計を理解しているかが見えてくるでしょう。
時間がわかる
時間とは、時刻のある点からある点までのことを指し、時の経過の長さを示すものです。家を出てから学校に着くまでの時間や今からあと30分後など、時間の経過を理解しているのかどうかもチェックするポイントとなるでしょう。
24時間表記にしても時間がわかる
1日の始まりを0時とし、終わりを24時とするものが24時間表記です。子どもにとって24時間表記を理解することが難しい場合があります。
この24時間表記についてどの程度理解しているのかを確認しておくことも、時計の学習を進める上で重要です。
時間の進み方や前後の感覚がわかる
ある時刻から何分後・何時間後など、時間の進み方や前後の感覚を理解することは、日常生活において必要な感覚です。「今から30分後に家を出るよ」などの声かけをし、正しく理解できているかどうかを確認しましょう。
時間の計算ができる
2時間30分+1時間30分は?などの時間の計算問題は、小学校で学習します。この計算問題を理解できていれば、時計の読み方や感覚がしっかりと身についているといえます。
反対に、計算問題でつまずいてしまう場合は、時間の感覚がはっきりとはわかっていないかもしれません。その子の理解の程度に合わせて、適切な支援をしていくことが大切です。
時間を読むことが苦手な子への対応
時計を読むことが苦手な子どもにも、さまざまなタイプがあります。それぞれのタイプに合わせた適切な対応について解説します。
単純に時計が読めない場合
ただ単に時計を読むことが苦手な場合は、日々の学習により少しずつ身についていきます。
まずは短針の読み方から練習し、時計の1~12の数字の上に短針が来たら◯時ということを覚えることが大切です。短針が読めるようになったら、次は長針を読む練習をします。最初は数字が記載された時計を使用すると良いでしょう。
それぞれの読み方を理解したら、最後に時刻を読む練習を行います。短針を先に読み、長針を後に読むというルールを教え、声に出して時刻を読んでみましょう。この方法を続けることで、小学校の低学年で時間の読み方や感覚が曖昧でも、高学年になればしっかりと時間を読めるようになる可能性があります。
時計は読めるけど時間の感覚が曖昧な場合
時間は読めても時間の経過がわからない、というお子さんもいるでしょう。そのような場合には「あと10分後に家を出発するから、支度してね」などと、次に取るべき行動の見通しを立ててあげることが効果的です。
何分後までにやるべきことを行うなどの時間の感覚がわかってきたら「あと何分で支度が終わる?」と時間の経過を自分で考えて答えてもらうようにします。そうすることで、より時間に対する意識が高まるでしょう。
約束の時間を忘れてしまう場合
ADHDなどの発達障害がある子どもは、必要な情報を一時的に記憶に留めておく能力「ワーキングメモリ」が低いことが特徴です。このような場合、約束の時間を覚えておくということが難しくなります。
約束した時間をメモに取る、手帳に書く、カレンダーに書くなど、子どもに合わせた方法で時間の管理をしましょう。
集中しすぎて時間を忘れてしまう場合
集中しすぎて時間を忘れてしまう「過集中」は、ASDやADHDの傾向でこだわりが強いタイプの子どもに多い症状です。こだわりが強い分、途中で物事をやめることが難しく、イライラしてしまったりパニックになってしまうことがあります。
約束した時間にゲームがやめられない場合は、事前に「◯時までで終わりにしようね」と、これから先の時間の見通しについて話しておくと良いでしょう。また、このようなタイプの子は、何かをしている途中で中断させられることを嫌います。区切りの良い時間に声かけをしてあげることも大切です。
時計が読めるようになるためには
時間が読めない子どもに読み方を教える時、ただ単に教えるだけでは理解が難しい場合があります。さまざまなグッズを使い、工夫して学習に取り組めるように配慮しましょう。
タイムタイマーを使用する
タイムタイマーとは、時間を見える化することで視覚から時間を把握できるグッズです。例えば、時計を10分に設定すると、10の針まで赤いシートが出てきます。時間の経過とともに赤いシートの範囲が狭くなり、時間の感覚を掴めるようになります。
また、発達障害の子どもは聴覚よりも視覚からの支援の方が優位といわれています。目で見て残り時間を把握できるタイムタイマーを使って、少しずつ時間を読めるように支援していきましょう。
キッチンタイマーを使用する
数字が読める場合には、キッチンタイマーの使用も効果的です。最初にタイムタイマーを使用して、数字が読めるようになったらキッチンタイマーに切り替えるという流れが良いでしょう。
キッチンタイマーは、10分セットするとだんだんと数字が減っていき、時間が経つと音が鳴る仕組みです。これなら視覚的な支援となり、発達障害のある子どもにもわかりやすい支援となるでしょう。
読みやすいように時計に工夫をする
長針がぐるっと一周回ったら1時間、長針が1と2の間は5分など、時間の刻み方を理解するのは難しい場合があります。このような場合は、時計自体に印をつけるなどの工夫が必要です。
例えば、長針にシールを貼り12から12に戻ってきたら1時間と視覚的にわかりやすくしてみましょう。また、1のところに5分、2のところに10分と、5分ごとのシールを貼り時間の感覚を理解してもらうのも良いでしょう。
時計が読めないのは発達障害の可能性がある【まとめ】
学習により自然と時間の感覚が身についていきますが、学習しても時計が読めない場合は発達障害の可能性も考えられます。発達障害を持つ子どもは、学習障害や感覚過敏により時計を読むことが難しい場合があるでしょう。
このような場合は、まずはどの程度時計の読み方を理解しているのかを確認し、適切な支援を続けていくことが大切です。子どもの特性を活かし、グッズを使うなど1人ひとりに合った方法で支援することで、少しずつ苦手を克服していきましょう。
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